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そこに描かれていたのは男の裸体。
人体デッサンとしては裸なんて普通のことなのかもしれないが、どれも情交中を思わせるような色っぽい絵なのはBL漫画家ということを加味しても異常なのでは?
というか……過激だな。
花嵐の描く濡れ場のシーンは何度か原稿で拝見したが、このスケッチブックに描かれたものは原稿よりもかなりハードだ。
ページを捲る度に受けが様々な手段で責め立てられ喘がされているが、攻めの描写は殆どない。
受けは突き出した尻を振って挿入をねだっていたり、目隠しや拘束をされていたり、オモチャで翻弄されていたり、勢いよく射精させられていたりする。
所詮は絵だというのに前が反応してきてしまう。……仕方ないじゃないか。一目見た時から気がついていたんだ。
この受けは私だ
スケッチブックの中で長い髪を振り乱して醜態を晒しているのは紛れもなく私だ。
ドクドクと心臓が早鐘を打つ。
もしかして私は……こんな風に彼に抱かれたのだろうか?
獣の交尾を思わせるようなイラストに触れてみる。攻めの上半身は描かれていないが、勝手に花嵐の姿を想像する。……これは駄目だ。早く別のことを考えて勃起をおさめないと。
でも、他のことなんて全然考えられない。
「カリンさん、貴方って人はまた勝手に。好奇心旺盛というか、なんというか」
背後から聞こえた声にビクリと肩が震えた。
この震えは恐怖じゃない、期待だ。
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