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今、この世の中では感染症が世界に蔓延し経済に多大な損失を与えている。 その余波は底辺である俺にも及び、つい先日派遣切りされ、現在無職になってしまった。
そんな中、何故か何も伝えていないのに母から急に
「雄亮、あんたいつでも帰って来ていいんだからね」
と家出に近い上京をしても母だけは定期的に連絡をくれ、俺の健康を案じて、食材を送ってくれたりしていた。 親父とはあれ以来、いっさい連絡は取っていないが。
今後の自分の身を案じている時に母からの連絡は流石に心が揺らいだ。 でも親父には絶対に会いたくない。 そう思っていた矢先にこのチラシを見て怪しいと分かっていながらも、何故か惹かれてしまった。
「まあ時間だけはあるんだ。 何か請求されても無い袖は触れないしな」
高額商材を売りつけられそうになっても、そんな金を持っていない俺は払えないしな。 と開き直りながら、チラシに記されたビルの前で温かい缶コーヒーを購入しセミナー会場へと向かった。
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