あたし、朔!

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「百歩というか一万歩というか、地球から月くらいまで譲って、お前が朔だとしよう、で、朔は人間になったと。それなら、ついでに教えてくれ、『普通の人間』と『人間に転換した猫人間』というのは、何か違うのか?」 「マガティの能力が引き出せる。あくまで『猫人間』だから。それで出来ることは、猫人間の転換のほかには、個人史の修正とか小物の移動とか、まあそんなとこかな。たいしたことは出来ないよ。でも『個人史の修正』ってのは使いよう。手間はかかるけど、豆ちゃんをやんわりと地上から消去しちゃうなんてことも可能だったりする」  とんでもない奴が現れてしまった。  こいつが朔なら、朔は猫に戻すべきではないか?  しかし、そのためには一体どうしたらいいのだろう?  朔が続ける。 「マガティの能力を引き出せるのは猫人間だけじゃない。勘の強い動物はマガティに気づいて利用する可能性がある。日頃から動物には愛情をね。でないと怖いよ」 「怯えながら愛情なんかもてるかよ」 「あと猫人間はねえ、尻尾がある。みんな隠しているから分からない」 「尻尾ねえ、それままあ、どうでもいいような気がするな」
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