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ちびるが力なく言う。
「ここは無人島でもジャングルでもないのに……」
「朔にとっては砂漠も同然だろう」
「そーよそーよ、君もやっとあたしの気持ちが分かるようになって来たわね」
「クリ目ほどじゃないがな」
「くりくりくりくりクリ目さん!クリ目さん!クリ目さんの素敵なところは……」
あー、しまったツボ踏んだ!言わなきゃ良かった、朔はクリ目の話になると止まらないんだ。
ん?いやまてよ?
この大食い娘、クリ目に意識が集中している間は、ブラックホールのような食欲を忘れられるというのか?
なっちゃんが小声で言う。「グッジョブ」。
……
俺達からすっかり嫌われ者になってしまったサンライズ出雲は、定刻の午前十時前に出雲市駅のホームに滑り込んだ。
朔が「『駅そば』を食べたい」と言うので、まず四人でホームの立ち食いそばを食べることにした。
「朔、一つ質問があるんだが」
「なぁに?」
「どうして『そば』なんだ?普段のお前は肉星人じゃないか」
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