夜行列車

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「あたしは魚も好きなんだよ。ダシのいい匂いがするなーって。でもあたし一人だったら頼みづらいなと思って。今日は豆ちゃんとちびるが居るからチャンスかなって」 「へ?そうなのか?」 「立ち食いって上品なイメージじゃないし、隣に知らないオッサンとか並ばれたら嫌だし。誰か男の人と一緒でないと食べづらい」 「なっちゃんもそう?」 (こくっ) 「女子の心理ってそういうものなのか」 「そうよ」 (こくっ) 「ふむ、勉強になった。ちびる、無料だからといってネギを山盛りにするのは止めろ……もう遅い感じだけど」 「へへへ、こういうのは貰った者勝ちだよ」 「そばに『勝ち負け』を持ち込むな」 「それよりねえ豆ちゃん」 「なんだ?朔」 「カレー」 「あのなそば食ってる最中にカレーの話題持ち出すな、そばに対して失礼だろう」 「失礼しました。でもカレー。あたし肉食べたい、カツカレー」 「わかった。まあ幸い、時間はたっぷりある、帰りのサンライズ出雲は夜七時過ぎの発車だからな。夕食はカレーにしよう」 「いやん。夕食じゃなくてこのあとすぐにカレー。カツカレー」
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