トラップに気をつけろ

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「チッチッチッ!嘘が青臭いなあ、じゃあ聞くが、そこの女の子二人、今日はノーメイクかい?」  痛いところを突かれた。女子大生なら化粧というものをしてるのか。 「何となく安っぽい服で来ちゃったのも失敗だね」  服装まで頭が回らなかった。もっと「大人びた服装」というものを検討すべきだったのだ。もっともちびるなんか、何を着ても子供にしか見えないけれど。 「君たち中学生だろう?」 「違います!」 「断言したね。ということは高校生確定だ。実はさっき『湯河原』っての聞こえちゃってさー、オジサンはバブルの頃、東京で働いてたんだよね、湯河原って東海道線の駅だろう?」 「……」 「……」 (……) 「……」 「やっぱり家出だな〜、いいのかな〜、お巡りさんとか補導員とか、出会いたくないよね〜」  まずいなー、スキを見て脱出するか?食券制だからいつ店を出ても無銭飲食で捕まる心配はないよな? 「いやいやいいんだよ、オジサンは君たちを愛している」 「は?」 「オジサンも若い頃は毎日無茶したなあ、二連荘オールでジュリアナ通ったり」 「朔、ジュリアナって聞いたことあるか?」 「それ潰れてるでしょ、とっくに」
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