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まあそれに何だ、何の用事もなく旅行に出るのは後ろめたい気持ちがしたので、島根県出雲市にある『雲州大社』に参拝するという、いかにも立派な名目を立てた。何しろ日本でも有数の立派な神社だ。そこにお参りに行くことが悪かろうはずがない。山陰方面への夜行バスの終点の一つが、たまたま『雲州大社前』に設定されていたということもある。俺は夜行バスは初めてで、色々不安もあった。だが、不安の一つ「寝過ごし」については、終点まで乗るなら消滅する。
で、雲州大社。大きな神社だ。とにかく広い。鳥居をくぐって拝殿まで結構な距離があった。ちょっとした森林浴だ。俺は夜行バスで凝った背中を伸ばしながら、参道をのんびりと歩いた。拝殿というのは、お参りをするところ。銅板葺きの屋根から下がる米俵のようなしめ縄。巫女さんが三宝を持ってしずしずと歩いていた。
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