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それから雲州大社の境内を一回りしてみた。神さびた静かな境内。悪くない。住宅街に住む俺にとっては非日常。その途中で俺は、ちょっとした発見をした。境内の草むらに勾玉が落ちていた。それは太陽の反射でつるりと光っていた。プラスチックだろうか?あまり高い品物には見えなかった。出雲には勾玉にまつわる伝説が色々あることは、ネットで検索して知っていた。拾い上げてみると意外に重い。ガラスかもしれない。半透明の、くすんだ緑色。「雲州大社の境内で見つけた」というのは縁起が良さそうに思えた。緑色というのも気に入った。俺は緑色が好きなのだ。拾得物横領って罪名が一瞬脳裏を掠めたが、こんなおもちゃ、草むしりの際に見つけられてもゴミとして捨てられてしまうだろう、という訳で、俺は「善意のゴミ拾い」をした。拾った勾玉は「お守り」代わりに、ズボンのポケットに入れておくことにした。
それから宝物殿にも入ってみた。クラシックな資料が並んでいるだけで、面白いというほどではなかった。
帰りの夜行バスも雲州大社前からの発車だったが、神社で一日過ごすのも退屈なので、一畑電車という私鉄に乗って松江の町まで出た。
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