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「だからぁ、あたしが朔」
「朔は猫だ」
「ちがう、猫人間」
「ネコニンゲン?」
「あたし、朔!さっきまで猫やってた」
「猫やってた?」
そうだ。
俺には一つの考えが浮かんだ。こいつが朔だというなら……
「おい、お前、黙って俺の目を見ろ」
「いや〜ん!コクるぅ?ベッドの上で?きゃー恥ずかしいわぁ!どぉしよう」
「訳の分からんこと言うな。瞳を見せろというんだ」
「……」
「……」
「……何か言ったらどうなのよ」
困った。こいつが朔であるという証拠を一つ見つけてしまった。
猫の朔は、左目が青、右目が薄茶色のオッドアイ(左右の瞳の色が違う)。
猫には割とよくあることだが、人間、なかでも日本人のオッドアイというのは相当珍しい、というか、まず居ない。
ところがこいつは、見事なオッドアイ、しかも、左が青で右が茶色だ。
「お前、その瞳の色について、自分で分かっているか?」
「知ってるよ。あたし結構気に入ってんのよ。かわいいでしょ?」
「かわいいとか自分で言うな。しかしそれを引き継いでいるということは、お前は……」
「朔よ」
「……わからん。なぜなんだ?」
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