あたし、朔!

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「知らねーよ」 「マガティよ」 「は?」 「さっきも言ったでしょ、勾玉。それがマガティ」 「この勾玉?」  俺は机の上の勾玉を、もう一度目をこらして眺めてみた。  春休みに雲州大社の参道で拾った緑色の勾玉。さっきは光っていたが、今は鈍い緑色をして、ちょこんと存在感を示している。轟音もない。大人しくしている。  マガティ? 「さっきも言ったが、勾玉なんて土産物屋でいっぱい売ってた。雲州大社近辺にはお前みたいな奴が大勢居るのか?」 「君はホントに全然わかってない。君が拾ったのはそもそもお土産物なんかじゃない。雲州大社に古代から伝わるマガティよ」 「古代から伝わる勾玉なら宝物殿で見ような気がする」 「あれはダミー。本物がそれ」 「そんな馬鹿な話があるか。第一、それが本当だとしてなぜお前がそんなことを知っている」 「猫は何でも知っているのよ」 「何じゃ?そりゃ」  マガティについて朔を名乗る女子は、さらに意味不明なことを言う。 「マガティは科学では説明の出来ない能力を秘めている。猫人間にはそれを引き出すセンスがある。それであたしは、猫から人間に転換した」 「転換?」
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