夜行列車

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夜行列車

 四人で夜の湯河原駅に向かい、俺は窓口で現金と引き換えに切符を受け取った。駅には自動販売機タイプの切符受け取り機もあったが、ホログラムなしの一万円札が入るはずもなかった。そして俺たちは、熱海まで各停(もちろん普通車)で移動した。  各停に乗る前、湯河原駅の売店で夜食用のクロリーメイトを買った。クロリーメイト代は約束通り、ちびるが払った。四人分、湯河原駅の売店で「たったの」八六四円な。  本当は今回も、春休みの旅行のように夜行バスにしたかった。だが、ネットで検索してバスの渋谷発の時刻に間に合わないことを知った。一方、クリ目の指定したサンライズ出雲は、熱海発が夜の十一時台。間に合う。  ちなみに帰りもサンライズ出雲だ。これは俺の選択、というか絶対命令。新幹線は高いからパス。夜行バスは渋谷までノンストップで、学校の始業時刻に戻って来れないのでダメ。だが夕方に出雲市を出る上りのサンライズ出雲に乗ると、翌朝六時前に熱海に着く。学校に余裕で間に合う。  往復夜行になってしまうけれど、別に老人を連れて行く訳ではない。二〜三日徹夜したくらいで倒れるメンバーではなかろう。第一、とてもじゃないけどホテル代までは出せない。それに、学校をサボる日数はなるべく短くしないとヤヴァい。  さて、深夜の熱海駅に滑り込んで来た「サンライズ出雲」を見て、俺たちは驚いた。 05d80214-9359-4855-b870-8d8c6c3818d4  何この電車、全部二階建て?窓が上下二列になっている。豪華列車? 31560f50-0a1b-44e0-943e-4fbde22c042d
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