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1645年。統一国家・バビロンが誕生した。
ファントムに勝利した形で統一を成し遂げた人間と、身体的優位にありながらも人間に虐げられる形でバビロンに統合されたファントム。
統一されたと言えども、両者の確執が無くなるわけもなく。
共存する世界を作ると言う大義名分の下、不可侵条約を結んだ国家同士のように歪んだまま均衡を保っていた。
世界が大きく歪んだのは、それから240年後のこと。
テロで多くのファントムが殺されたのだ。
身体的有利なファントムによる制圧を恐れた人間たちの、組織的な犯行だった。
虐殺テロを皮切りに、人間たちによる悪事が次々と明るみになる。
禁止されている人間の肉体増強と人工奴隷の生成が発覚し、激昂したファントムたちは次々と開発に関わる人間たちの命を奪った。
再び統一戦争へと突入し国が荒廃していく中で、人間たちは肉体増強と人工奴隷の生成の開発を止めようとはしなかった。それらの研究が度重なるファントムからの妨害で頓挫したことは語るまでもない。
ファントムたちの暴動は要人たちの暗殺に留まらず、一般市民への恐喝や武力行使へと形を変えていく。
彼らによる武力制圧が現実味を帯び始めたころ、一人の女が国全土に名を馳せた。
人間に危害を加えるファントムを次々と倒し人間を救う。彼女に憧れる人間も少なくはなかった。
人々は、彼女をファントムキラーと呼んだ。
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