6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「?」
キースの手が血塗れになっていることに気付いたモニカは、むっと口を尖らせた。
赤い線が縦横無尽に刻まれた、ボロボロな手は見るに堪えないほど生々しく傷付いている。
見る方がダメージを喰らうほどのその怪我を、彼自身は気にしていない。
誰に何を言われても反省しない彼は、モニカとは別の異常さを孕んでいた。
「まーた、こんなに怪我して……わたしがケージの上に乗るよりも問題だってこと、分かってますぅ?」
「問題ない。すぐ治る」
「何言ってるんですかぁ! 先輩は治る前にまた怪我するでしょ? ちゃんと治さないと、そのうち手が無くなりますよ」
真剣な表情で包帯を巻くモニカ。
しかし、慣れてないせいかはらりはらりと動くそれを、うまく巻くことが出来ない。
キースが反対の手で包帯の端を押さえると、彼女はぎゅっと力強く巻いた。
「いっ」
「この程度で痛いなら、手を犠牲にするようなことしないでほしいですぅ」
彼女の言葉を遮るように、キースの無線に本部からの連絡が入った。
『本部から制圧03、現在位置を報告せよ』
「こちら制圧03。中央通りⅡ5、ファントム制圧地点にてモニカ女史と合流。現在同地点にて女史から手当を受けています」
『本部から制圧03、了解。まもなく制圧08現着予定。ファントム引渡し完了後、大至急帰還せよ』
「制圧03、承知」
無線を切り、キースは深く息を吐く。
アジト帰還後は本部のアイリーンからの説教は免れないと、腹を括った。
包帯を巻くのに悪戦苦闘していたモニカが、彼の手当を終えたころ、真剣を携えたサヴィエが現れた。
「待たせた」
最初のコメントを投稿しよう!