セントラル

3/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「?」  キースの手が血塗れになっていることに気付いたモニカは、むっと口を尖らせた。  赤い線が縦横無尽に刻まれた、ボロボロな手は見るに堪えないほど生々しく傷付いている。  見る方がダメージを喰らうほどのその怪我を、彼自身は気にしていない。  誰に何を言われても反省しない彼は、モニカとは別の異常さを孕んでいた。 「まーた、こんなに怪我して……わたしがケージの上に乗るよりも問題だってこと、分かってますぅ?」 「問題ない。すぐ治る」 「何言ってるんですかぁ! 先輩は治る前にまた怪我するでしょ? ちゃんと治さないと、そのうち手が無くなりますよ」  真剣な表情で包帯を巻くモニカ。  しかし、慣れてないせいかはらりはらりと動くそれを、うまく巻くことが出来ない。  キースが反対の手で包帯の端を押さえると、彼女はぎゅっと力強く巻いた。 「いっ」 「この程度で痛いなら、手を犠牲にするようなことしないでほしいですぅ」  彼女の言葉を遮るように、キースの無線に本部からの連絡が入った。 『本部から制圧03、現在位置を報告せよ』 「こちら制圧03。中央(セントラル)通りⅡ5、ファントム制圧地点にてモニカ女史と合流。現在同地点にて女史から手当を受けています」 『本部から制圧03、了解。まもなく制圧08現着予定。ファントム引渡し完了後、大至急帰還せよ』 「制圧03、承知」  無線を切り、キースは深く息を吐く。  アジト帰還後は本部のアイリーンからの説教は免れないと、腹を括った。  包帯を巻くのに悪戦苦闘していたモニカが、彼の手当を終えたころ、真剣を携えたサヴィエが現れた。 「待たせた」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!