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「サヴィエ先輩。お疲れ様ですぅ」
「ん。……キース」
モニカの挨拶に頷いたサヴィエは、両手を包帯でぐるぐる巻きにされたキースを見る。
「レナが怒っていた。体は大切に」
「……はい」
淡々と注意する先輩に、キースは何も言い返すことが出来なかった。
サヴィエは、藍色のゴーグルの奥に隠れた瞳をすっと細める。
ファントムを彼に引き渡したキースは、そのままアジトへ向かった。
一方。
ファントムの輸送を任されたサヴィエは、輸送用ケージの上で寛ぐモニカを見た。
楽しそうに鼻歌を歌っている彼女に、先程と変わらぬトーンで声をかける。
「モニカ、規律は守るように。何かあってからでは遅い。レナに報告――」
「それだけは止めてっ」
怖い怖いと連呼しながら、モニカはケージから飛び降りた。
反動で無線の通話ボタンがオンになったことに、彼女は気付いていない。
サヴィエはそれに気付きながらも、あえて何も言わなかった。
「先輩、お願いだからアイリーンには言わないで」
『モニカ』
不意に無線から声がして、おろおろしていたモニカは足を止める。
『早く戻っておいで、モニカ』
これ以上に怖いお出迎えはないと、彼女は無言で祈った。
そんなモニカの様子を、サヴィエはどこか冷めた様子で見つめていた。
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