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(1)黄昏時に見える人
その人は一瞬だけヒュッと現れて消える。
空間の影のような存在だが、影よりも儚いと言える。
僕が見つけたのはたまたまのことだ。
森の中の開けた場所、僕だけの秘密の場所をその人は一瞬だけ通るのだ。
決して止まらない。
その人が通るのは日曜の夕方、日没前ごろだ。
他の日もあるのかもしれないが、調べた範囲では通らなかった。
人であることが分かったのは僕の眼が慣れたからだ。
不思議なもので映画のフレームの一コマを取り出して見るように、しかし黄昏時のトワイライトゾーンに相応しい見え方をする。
人の姿をしている。それだけはわかった。
幽霊にしては明るいうちから出るので違うだろう。
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