いつか見つけるその日まで

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「そろそろ行こう。濡れたら風邪を引くから」 なかなか足を動かさない彼女に声をかける。すると、隣の傘から「あっ!」と大きな声が上がった。 「みつけた!あそこ!」 彼女が指さした方を見る。小さな遊園の滑り台の奥。薄紫に色づいた紫陽花の根元。 僕の目がそれ(・・)を捉えると同時に彼女が駆けだした。仕方なくあとを追う。 「六花(りっか)……」 「見て!仔犬!」 段ボールの前にしゃがみ込んだ彼女前には、茶色く小さな毛だまり。生まれて間もない仔犬だ。目が開いているのかどうかもあやしい。 「誰かが捨てていったんだ……」 「無責任だな」 「このままじゃ死んじゃうかも……お父さん……」 悲しそうにそう言った彼女が次に何を言うか、僕にはすぐに予想がついた。
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