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「先にバスを使え」
「はーい」
「言葉を伸ばすな」
「はい」
ぱっぱと服を脱いでしまうと、悠はバスルームに入った。
「何これ。これが、お風呂!?」
広い浴場には観葉植物が飾ってあり、大きな大きなバスタブがある。
テレビまで設置してあり、悠はさっそく点けてみた。
音楽番組を流しながら、シャワーを浴びる。
上品な香りのシャンプーや石鹸で、体中を洗う。
バスタブに浸かり、ジェットバブルで心地よく体をほぐす。
「ああ、気持ちいい。夢みたい」
ヤクザの家にお邪魔していることも忘れ、悠は素敵なバスタイムを楽しんだ。
脱衣所に上がると、そこにはバスローブが用意してある。
「これ、お風呂に入る前には無かったよね」
あの人が、持って来てくれたのかな。
「何だ。案外優しいとこあるじゃん」
ぶかぶかのバスローブを着ると、悠はリビングへ戻った。
「お風呂、ご馳走様でした」
慎也は、ブランデーのグラスを傾けていた。
立ち上がると、黙って悠の傍に来る。
「な、何?」
「フリッジの中のものは、自由に飲んでいい。だが、酒は飲むなよ」
「はー、じゃなくって、はい」
バスルームに慎也が入ったことをそっと確認し、悠は冷蔵庫を開けた。
「わあ! いろいろ入ってる!」
その中からグレープフルーツのジュースを選び、飲んで喉を潤した。
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