第九章 もう戻れない恋を愛というんだ

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 パジャマ姿の慎也は、これまで見たことが無いほど緊張した表情をしていた。 『僕たち結婚するんだから、隠しごとはしないでおこうよ』  こんなことを言って、悠が慎也の素肌を見たがったのだ。  ベッドの上で悠が正座して、目を見開いて待っている。 「どうしても、見せなくてはならないのか?」 「僕、どんな慎也さんでも受け入れる覚悟はあるよ」  そこまで言うなら、と慎也はパジャマを脱いだ。  素裸になり、その全身を悠にさらした。 (あ、やっぱり)  慎也の体には、刺青が入っていた。  胸の後には、背中も見せてくれた。 「竜と、……鳥?」 「鳳凰、という鳥だ」  怖くないか、と問う慎也に、悠は首を横に振った。 「大丈夫。慎也さんだから、怖くないよ。それに」 「それに?」 「竜が慎也さんで、鳳凰が僕、だね」  なるほど、と慎也は笑顔でうなずいた。  何にせよ、悠がこの体を受け入れてくれたのは嬉しいことだ。  慎也もベッドに上がると、悠は手を伸ばして触れてきた。
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