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「ホレ、早う言うてみい」
「……B(ビー)だ。ワシのことはB様と呼べ」
「B?」
「様をつけろ」
「あほらし。ほんで、Bはその姿のままなんか?」
「ワシは一生この姿だ」
「合体してたんやろ?」
「人間部分が先に死んだのだ。ある薬玉の実験体にさせられ、この姿になった」
「へー」
ヒョウは少し共感を持った。
「そんで、なんでこんなとこにおるん?」
「……迷子になった」
「ぶはははははっ!まじか!犬のくせに迷子って」
「お前は!何も知らぬから笑えるのだ。ここは山全体が迷路なのだ。お前も収容所にたどり着くのは大変だぞ」
「はあ?この道を登れば着くんとちゃうんか?」
一本道として上に続いているように見える石畳を見上げる。
「あまい!あまいのうー。これだからひよっこは。よかろう、ワシが案内してやろう」
「お前も収容所に行くんか?」
「そうだ。そこでいつも食事をもらっているのだ。まかせろ」
そう言ってBは、ヒョウのカーゴパンツの左ポケットに入り込んだ。
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