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3.
歩いているだけなのに、ヒョウはスキップしているかのような体の軽さを感じた。猫の時と同じように、いやそれ以上に身軽に屋根に上ったり、木から木に飛び移れる。
身体が大きくなった分、動きの範囲も広がった。人間の手であることがさらに器用さをもたらしている。
「すげーな。獣人になるってこういうことか」
木の枝に座って感慨深げにいると、羽音が近づいてきた。
「ヒョウ!」
三メートルはある木の天辺の枝に座っていたヒョウと、同じ高さに飛んでいる鳥人。
「フウ……よくわかったな」
「うそ!ヒョウ!獣人になれたの?いつ?」
鳥人のフウは、ヒョウの幼馴染の女の子。4歳の頃にとっくに鳥人になっており、すでに新聞配達の仕事も立派にこなしている。
「たぶん昨日。ほなな」
ヒョウは木から飛び降り、走り去ろうとした。
「ちょっと、学校行くんでしょ?一緒に行こうよ」
フウはバサバサと追いかけて来た。
「あー、うっせー。わいも今朝、合体に気がついたんや。まだ混乱しとるさかい、話しかけんな」
「えー!新鮮!可愛いヒョウが男っぽくなってるー」
フウは人間のヒョウのことしか知らない。猫のブルーが人格を持っていて話が出来たのを知っているのはごく僅かであった。人間のヒョウはもっと穏やかな話し方をしていたし、可愛らしい印象であった。
ヒョウは突然立ち止まり、フウの目を見る。
「……前のヒョウのほうがええやろ?」
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