ぼくが猫になった日（それはつまり ぼくが消えた ということ）

1.プロローグ

　ここは惑星ビーストピア。半獣半人の世界。人間と獣のミックスである獣人たちが暮らしている。

獣人は、その個体を決定付ける動物と共に人間として生まれ、２歳から遅くても１０歳にはその動物と合体し獣人となる。

自然に合体できれば何の問題もないのだが、合体は個体差があり、著しく遅い者もいる。

脆弱な人間のままで長く生きるのは危険でリスクが高い。そこで成長促進剤なる薬玉が開発された。ランニング・ベイビー、通称R・B（ラン・ビー）と呼ばれるこの薬玉は、直径２センチほどのピンク色の玉である。

これを飲むことで、成長が急激に促される。まさに赤ちゃんが急に走り出すように、だ。ある例では飲んだ数時間で獣人に成っているのだが、自然な合体に比べて体が小さかったり、精神に異常をきたしたりする者が出てきた。

このR・B（ラン・ビー）は開発途中といってよい代物で、副作用などを考えると、必ずしも推奨されるものではなく、現在は一旦使用禁止となっている。