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2.
「平和過ぎたんや……」
ヒョウの目から涙が自然と流れていた。猫人に成れたことは喜ばしいはずなのになぜ?
人間のヒョウの魂が消えてしまったことは想像以上のショックをもたらしていた。
「昨日まで一緒やったのに」
ヒョウとの生活は居心地よく、こうなることを敢えて考えないようにしていた。
二つの人格は合体した時、どちらかが吸収され消滅する。より強い方が残るのだ。
だからこそ、人格があやふやな幼少期に合体することが、ある意味自然の摂理であった。十四歳まで合体できずに二つの人格が確立してしまった例は、皆無だ。
ずっと猫であったブルーは、人間のヒョウの優しさや弱さや素直なところが大好きであったが、それは弱い遺伝子として淘汰されてしまうものだと薄々気付いていた。
しかし、おかしい。
ブルーは、この合体自体に不自然さを感じてた。獣である自分が合体の兆しに気付かなかったのはおかしい。
これは、あんなに両親が願い大事にした自然の合体ではないと推測し、さらに落ち込む。
それは、人間であったヒョウが、自ら R・B(ラン・ビー)を飲んだことを意味するからだ。
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