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すでに自然な合体など有り得なかったのだ。 人格が人間と獣でそれぞれ出来てしまう前に合体をして獣人となることが自然であり、もしかしたら薬玉を使ってでも、そうした方が自然だといえるのかもしれない。 存在してしまった人間のヒョウの魂と猫のブルーの魂。 自分の分身。猫のブルーとしていつもヒョウの頭の上に乗っていた昨日までの日常を思い返し、ブルーもといヒョウは、気持ちが追いついていないアンバランスな感覚を持て余していた。 「史上最悪の合体や。絶対そうや」 ベッドから起き上がり姿見に映る自分を見る。 そこには、十四歳の少年の頭上に猫が乗っていた昨日までの姿とは違い、上半身は人間で下半身は猫の、青い目をした獣人がいた。 濃いグレーの髪。人間のヒョウは髪がなかったので、髪の代わりにブルーが頭に乗っていた。今はふさふさの毛で覆われている。その髪の間から飛び出ている猫の耳。 よく聞こえる……。 ヒョウは、重苦しい心とは裏腹に体は軽く、エネルギーに満ち満ちているのを感じていた。
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