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「ヒョウちゃーん、ご飯よー。起きなさーい」
優しい母トリデの声。昨日の夜、猫の姿でトリデのお腹の毛をフミフミした。その時人間のヒョウから離れたブルー。
おそらくその間にヒョウは薬玉を飲んだのだ。離れなければ良かったと後悔しても、もう遅い。どの道いつかは獣人に成らねば仕方なかったのだから受け入れるしかない。
バサッバサッと羽音がしてヒョウは部屋の入り口に目をやった。驚いて声も出せずに立ち竦む母トリデがいた。
「……おはよう、“母さん”」
ヒョウはわざと“母さん”と言った。その呼び方は人間のヒョウの真似であった。
「ヒョウちゃん……うそ……」
「……合体してもーた」
「その喋り方、ブルーね!」
「ああ、ごめんな。わいの方が残ってん」
「な、なに言っているのよ。謝ることじゃないでしょ。ブルーもヒョウちゃんも私が産んだのよ。ブルーに統一されたってだけでヒョウちゃんもちゃんと残っているわよ。やだ、おめでたい事なのに、ヒョウちゃんてばなんて顔してるの? ああ、そうだわ。ジョーに知らせないと。もう、こんな時に出張なんだから。すぐに電報打たなきゃ。あ、その前にご飯食べましょ。今日の夜はお祝いね!」
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