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必死に言葉を並べるトリデは、明らかに動揺していた。とにかく心を落ち着かせようと考えをめぐらせた。 昨日まで、甘えん坊の可愛い人間のヒョウがいた。ブルーは猫であった。 ブルーは、ぶっきらぼうな独特の強気な話し方をするが、甘えてくる様子はこの上ない可愛さだった。その二体が合体した。 どちらも単体では存在しない。新たな猫人としてのヒョウが誕生したのだ。獣人になるというのはこういうことだ。 トリデは母親として受け入れようと必死であった。新たな誕生を喜ばなければいけないのに、寂しさが上回っていることに愕然としていた。 頼りたい夫のジョーは出張でいない。自分がしっかりしなければならない。ヒョウに動揺を悟られてはいけない。  しかし、トリデの動揺は痛いほどヒョウに伝わってきた。元々敏感に物事を感じる癖を持っているヒョウ。トリデが必死に取り繕う様子が痛々しく、言わずにはいられなかった。 「おい、トリデ、無理すんな。また発作がでるぞ」 トリデは目を見開いて驚いている。
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