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「8番島です。ボルゾイ・ゾーイさん、お待たせしました。お降りください」
昼寝続行中のヒョウを、ダンテがゆすって起こした。
「ボルゾイ・ゾーイさん」
「へ?あ、ああ。わいか」
ゾーイのチケットで乗ったのを思い出し、起きたヒョウ。
「なんや?ここ」
「8番島です」
ヒョウの目の前には、鬱蒼と草木が茂っている小さな島があった。小高い山が一つあり、その天辺あたりに大きな建物が見える。
「8番?わいは1番島に行きたいんや」
「ゾーイさん、あなたのチケットは8番島行きです。速やかに降りてください」
ダンテはやれやれと言う表情で、ヒョウの首根っこを軽々掴んで、ソリから降ろした。駄々をこねる客はよくいるので、お手の物である。
「では、一週間後に」
そう言って素早く発進し、去って行った。
「え、お、おい、待て!ちょっと!おいー!」
さすがコンドル・ダンテ。あっと言う間に見えなくなった。
「どういうことやねん、話がちゃうやんけ!一週間て、どないすんねん。しかも8番って、1番島まで、まだまだ遠いやないかー!」
誰もいない森の中、大声で叫んでみるが何の解決にもならない。
ヒョウは諦めて、とりあえず山の上に見えている収容所らしき建物まで行くことにした。
「とりあえずあそこ行くしかないやろな。鳥族がおったら捕まえて乗っけてもらうか」
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