15人が本棚に入れています
本棚に追加
鬱蒼とした草むら。けもの道すら見当たらない。
「なんやねん、ほんま、どういうことやねん」
ガサガサと進んでいくと石畳の道らしきものが見えた。山の頂上への道のようだ。道があることに安堵し、そこまでガサガサと歩く。
ヒョウは自分の他に、後ろからついて来る者がいることに気がついていた。
ヒョウが出しているガサガサという音に混ざって、スサスサとかすかに後ろから聞こえてくる。軽い、小さめの生き物。地面近くを動いている。なんだ?
ヒョウは石畳の細い道に出たあと、今来た方を向く形で道に座り込んだ。
スサスサ、ス、、、サ、、、。
音がピタッと止んだ。気配を消している何かがすぐ近くにいる。
「ええから出てこい。わいになんか用か?」
「……」
「はよう出てこんか、面倒やな」
「……」
「ほうか、ほな、わいの特殊能力出すでー。(そんなもんないけど)この辺一体を即効で焼き尽くすでな。丸焼けになっても知らんでー(ほんまに火ふけたらオモいやろなぁ)」
適当なことを言うヒョウ。あまりに反応が無く、出て来る気配もない。どうでもよくなり先を急ごうと考えた。
「ほな、もうええわ」
「……きゅん」
最初のコメントを投稿しよう!