7.

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立ち上がり行こうとするヒョウの前に、鳴きながら草むらから出てきたのは、小さな赤ちゃんドーベルマンであった。 「ちっさ」 ヒョウの手に乗るサイズの小さい犬。 「きゅん、きゅーん」 甘えた声を出し、ヒョウの足に擦り寄ってくる。ヒョウはしゃがみこみ手を近づける。 「ほれ、来い」 ちょんっと、ヒョウの手に飛び乗ったチビドーベルマン。ヒョウは自分の目線まで持ってきてじっと見つめる。 「きゅうん」 首をかしげ媚態を示すチビドーベルマン。 「へー、珍しいな、お前」 生まれたてのような小ささだ。 「きゅううん」 自分の可愛さをわかってるかのような絶妙な鳴き声。 「で?」 いきなり冷たく言い放つヒョウ。ヒョウの塩対応に拍子抜けのチビドーベルマン。たじろぎ黙ってしまった。 見つめ合う二体。まるで目を逸らすと負けのようにじっとお互いを見ている。 「お前、喋れるやろ?もしくは変化(へんげ)もできるんやろ?何モンや?」 ヒョウは、このチビドーベルマンを一目みて胡散臭いと感じていた。 「きゅうんきゅうん」 首を振るチビドーベルマン。この時点で話が通じていることは確証された。 「わいな、長い間猫のままやってん。せやしわかるんや。100%動物のヤツと、獣人が変化(へんげ)した動物は違う。全くの別物や。お前の目は赤ん坊の目とちゃう。酸いも甘いも知ってる獣人の目や」 「……」 「ほーか、シラきるんか」 「……きゅん」
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