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立ち上がり行こうとするヒョウの前に、鳴きながら草むらから出てきたのは、小さな赤ちゃんドーベルマンであった。
「ちっさ」
ヒョウの手に乗るサイズの小さい犬。
「きゅん、きゅーん」
甘えた声を出し、ヒョウの足に擦り寄ってくる。ヒョウはしゃがみこみ手を近づける。
「ほれ、来い」
ちょんっと、ヒョウの手に飛び乗ったチビドーベルマン。ヒョウは自分の目線まで持ってきてじっと見つめる。
「きゅうん」
首をかしげ媚態を示すチビドーベルマン。
「へー、珍しいな、お前」
生まれたてのような小ささだ。
「きゅううん」
自分の可愛さをわかってるかのような絶妙な鳴き声。
「で?」
いきなり冷たく言い放つヒョウ。ヒョウの塩対応に拍子抜けのチビドーベルマン。たじろぎ黙ってしまった。
見つめ合う二体。まるで目を逸らすと負けのようにじっとお互いを見ている。
「お前、喋れるやろ?もしくは変化もできるんやろ?何モンや?」
ヒョウは、このチビドーベルマンを一目みて胡散臭いと感じていた。
「きゅうんきゅうん」
首を振るチビドーベルマン。この時点で話が通じていることは確証された。
「わいな、長い間猫のままやってん。せやしわかるんや。100%動物のヤツと、獣人が変化した動物は違う。全くの別物や。お前の目は赤ん坊の目とちゃう。酸いも甘いも知ってる獣人の目や」
「……」
「ほーか、シラきるんか」
「……きゅん」
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