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どや顔で着地ポーズを決めているチビドーベルマンを無視して、山の天辺に向かうヒョウ。関わると面倒だと感じたのだ。
「待たんか、このクソガキ!」
甲高く可愛らしい声、小鳥が囀るような愛らしい響きに似つかわしくない内容の言葉。ヒョウは、思わず立ち止まり振り返った。
「クソガキやと?」
「ワシからしたらお前など青臭いクソガキじゃ」
ヒョウはさすがに顔を歪めた。目の前のこの赤ちゃんドーベルマンにクソガキと言われても、残念ながら何の説得力もない。なんとも憐れな赤ちゃんである。ヒョウは憐憫の目を向けた。
「その目、ワシを馬鹿にしておるのか!」
「伝わったならよかった。やっぱり、喋れるやん。ほんで?他に変化はできるんか?」
「できぬ!悪いか!」
「いちいち偉そうやな。弱い犬ほどよく吠えるってほんまなんや」
「この無礼者が!ワシを誰と心得る!ワシは」
「なんや?何モンや?」
うっかり名乗りそうになってしまったという表情のチビドーベルマン。
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