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1.プロローグ
『ブルー、あとよろしくね……』
「どあほうー!」
大好きな人物の言葉に、反発する叫び声をあげ、ヒョウは目が覚めた。
その瞬間感じる身体の異変……。
身体が大きい。初めに気付いたのはサイズ感。手が人間の手だとわかる頃には、たった今、脳裏に言葉を残して消えていったのは、まぎれもなく人間のヒョウの魂であったと認識できた。
自分は猫として生まれ、人間の少年ヒョウが目が青いからという理由で名づけたブルーという名前で呼ばれていた。
ヒョウとブルー。生まれた時からの相棒。人間のヒョウと猫のブルーが合体して獣人になることは、お互い願っていたことだ。
今、まさに猫と人間が合体し猫の獣人である猫人になった。成長が遅いと周囲からも稀有な目で見られていたヒョウの心願成就の瞬間であった。
「なのに、なんでや……」
ブルーは独り呟いた。人間のヒョウの魂が消える。予想できたこの事に目を瞑ってきたツケだと思った。現実を直視できていないにも関わらず感じる、恐ろしいほどの喪失感に『猫人ヒョウ』となったブルーは呆然としてしばらく動けなかった……。
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