エピローグ

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エピローグ

 以上だよ。ハッピーエンドなんてない。バッドエンドだとも言いたくない。聞いてみたらあっけない、薄っぺらな話だったと思ってくれてもかまわない。正解も分からない。嘘だと思ってもいい。だけれど、これはお母さんにも誰にも、話していなかったことだ。ようやく話せるようになったんだ。  白衣を着た彼女の頷きを見てから、噛み締めるように目を閉じた。真っ暗なのに、カーテンの向こうが晴れていて、青空なのが分かった。  握られた手で、母親譲りのすらりと長い指を握り返し、大きく息を吸う。走馬灯なのか、子どもの頃の顔が浮かんだ。無邪気で、優しい顔だ。一緒に横になって、昼寝をする。まぶたを閉じ、すやすや寝息を立てている。彼女が目を覚ますまで、ゆっくり眠れそうだった。  秘密を持った十七歳は、これでようやく死んでくれる。 「おやすみ」  さようなら。バイバイ。
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