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地方の大学に通っていた菜摘は、そのゼミで気の合う男がいた。
木村啓介。
大学卒業後、たまたま啓介と菜摘は東京の企業に就職が決まり、慣れない都会暮らしで話し相手が欲しかった菜摘は、帰宅後時々、啓介と電話やメールをやりとりすることがあった。
恋愛の対象ではなかった。
確かに啓介は気さくで話しやすく、相談事にもよく乗ってもらったが、どこがどう、とは言えないけれど、啓介は違った。
啓介の方もそれは同じで、しばらくすると彼には恋人ができた。
菜摘も東京暮らしに次第に慣れ、また、恋人がいる男に別の女から連絡が入るのは気まずいだろうという遠慮もあり、年賀状を送りあったりはしても、東京に来たばかりの頃のように頻繁に連絡をとることはなくなった。
啓介からの連絡が再び増えたのは、ふた月ほど前だ。
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