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ターペイン・ジャック
腰かけていた空き箱
ブランデーの空ビン
蹴飛ばしたのはひまつぶし
退屈で死にそうだったから
孤独のようで孤独じゃない
それが悲しくて笑えなくなって
かといって誰と繋がれるわけもなく
隙間風に諭され涙がひとつ
「ここは陽当たりがいいんだな」
ポツリと呟きそれで終わり
殺したいのは自分自身
気に入らない事だらけの毎日だ
鏡をみるたび悔しがるから
ひとつ残らず叩き割った
どこへ行けるというんだろう
何一つ笑えない現状の檻で
「生きるのに飽いたら楽になれるのに」
ポツリと呟きそれで終わり
殺したいのは自分自身
死の入り口だけが俺を認める
テレビの向こうで問い掛ける
ターペインジャックと名乗る男
憂鬱を肴に酒をつまみ
全てを極上の絵画に変えてしまう
この苦しみを知ってほしい
報われる直前のこの痛みを
だから涙を止める薬をくれ
涙を止める薬をくれよ!
また歩き始めようと
また走り出そうと
絵筆を手に取るこの瞬間の
やるせない苦痛を拭いたくて
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