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Cocoa
あれは曇り空の火曜日のことだ
市役所の裏の駐輪場で猫が生まれた
街はちょうどゴミ撲滅週間とやらで
食べていくだけのエサに乏しい夕刻だった
ボクはキミとの待ち合わせに向かう途中
駅横の公園で待つキミにおみやげを買った
ふたりのお気に入りのベーグルサンドと甘いココア
それを懐に抱えて市役所の前を通り過ぎた
温かいココアを分け合うのさ
寒空のベンチでひとつのマフラーで
手袋ごしに手を繋ぎそっと夢見たのは
ちょっとだけ未来に微笑む自分たちの事
親猫が震えながら車道を横切り
空のゴミ箱に潜り込んで恨めしそうにボクを覗き見る
駐輪場で目の開かぬ子猫がか細く鳴くから
キミと食べるつもりだったベーグルを親猫にあげた
いつだったかキミが教えてくれた歌を口ずさみ
駆け足で向かうイルミネーションの街
小さな命に希望を与えたのはボクで
ボクに希望を与えるのはいつだってキミだった
温かいココアを分け合うのさ
寒空のベンチでひとつのマフラーで
手袋ごしに手を繋ぎそっと夢見たのは
ちょっとだけ未来に微笑む自分たちの事
命燃える限り存在理由を探す
そのことを疑問に思うことはもうない
幼少期に見たあの夢のようだ
雨が降りだす前に約束の丘まで
雨に濡れる前に約束の丘まで・・・
温かいココアを分け合うのさ
寒空のベンチでひとつのマフラーで
手袋ごしに手を繋ぎそっと夢見たのは
ちょっとだけ未来に微笑む自分たちの事
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