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要求の門
遠い記憶のような木漏れ日が墜ち
遥か前世を覗き込んで身震いする
難しい事なんてひとつもないんだし
生きることを諦める理由も見つからないし
一世一代の賭け事のように生活そのものを楽しみ
ちょっとだけ疲れた晩は草笛だけでやり過ごす
昨日今日で発見したトラウマ味の苦いチョコレート
それだけで酔えるように魂を丸く丸く尖らせながらね
アンコールなら僕が死んだあとでも十分間に合うんだよ
まあ、せいぜい派手に場を湧かせて弔っておくれ
しみったれた時代だからこそ湿っぽい言葉は要らない
時代に追いつかれる前に飛び込んでやるんだよ
誰もが畏れるあの無間地獄を突きぬけるためにもね
おおっぴらにフイてみても所詮つまらない絵空事だろう
その絵空事のために人生を捧げるなんて馬鹿げた事だろうさ
それでも脳内に湧いた観客たちが僕を放ってはくれないんだ
だからこそ僕はひたむきさの中でノートブックに向かって
ありったけの言葉で要求の門を叩き続けるんだよ
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