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──Side 隆平
なぜ高瀬は、隣同士の部屋を取ったのだろう。「禁煙部屋にしたから。タバコとか絶対にやめたほうがいいよ」って、そういう問題じゃないだろ。
セミダブルベッドに身を投げ出して深くため息をついた。壁の向こうの高瀬はなにをしているのか。
寝返りを打ち、想像に過ぎない彼女の裸を思い浮かべる。きっと、白磁器のように真っ白ですべらかで、なにもかもが控えめで美しい。
華奢な身体を潰れそうなくらいに抱きしめて、あいつのすべてを暴いてやりたい。コンプレックスに感じているらしい小さな膨らみも、些細に丸みを帯びている尻も、その奥も。俺は、他のやつが知らないところだけを知りたい。すなわち──自分のものに、したい。
「好きだ、とか、言ったら……引かれっかな」
好みでは絶対にないはずだった。好きになる予定なんて1ミリもなかった。それ以前に、女として見る予定もなかった。誰かに心を奪われるなど、もう一生ないと思っていた。
それなのに、気づいたらこれだ。家にいてもあいつのことばかり考えて、仕事中だってのに触りたくてたまらなくて、真剣な横顔を見るだけで心臓が跳ねる。もし付き合えたらどんな毎日が待っているのか、そこまで考えてしまう。重症だ。
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