#11 宵を待たぬ微熱

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──Side 隆平 「つばき」 「な、に?」 「おまえの中、気持ちいい。熱くて、狭くて、痛いくらい締め付けてくる」 「や……そんなこと、耳元で、いわないで」 「おまえは?おまえの口から、気持ちいい、って聞きたい」  言って、つばき。瑞々しいピンクがあしらわれていた唇を奪うと、たどたどしく応えてくれた。 ためらいがちに回された腕はやはり細っこくて、俺が守ってやらないと、守りたい、ていうかめちゃくちゃに可愛がりたい、と庇護欲の塊が噴き出してくる。 「ほら、つばき。俺とこうしてんの、きもちくない?」 「き、もち……いい、かも」 「俺の顔見て言って」 「も……こんなときに、甘えないで」 「じゃあ、おまえが甘えてくれよ。まだ足りないだろ?」  小さな背中を掴まえて、首筋に貪りつきながら思い切り突き上げた。甘ったるい喘ぎに悲鳴のような嬌声が混じり、耳から犯されているような気持ちになる。俺の背中に爪を立てて必死にしがみつく姿が愛おしくてたまらなくて、さらに激しく腰を動かす。  ──ああ、かわいい。すっげえかわいい。まさか、女を抱いてこんなに幸せな気持ちになるなんて。  渦巻く欲望の中に混ざり合う、愛しさや幸福感。函館の夜を経てからずっと──いや、おそらくその前から──、俺はつばきを抱きたくてたまらなかった。しかしいざ抱いてみると、それが欲のみに突き動かされていた感情ではないことを知る。 「つばき、好きだよ」 「あ、りゅ、へ……わたしも、すき……やぁ、んっ」  すっかり蕩けた声と表情が、彼女の限界が近いことを示している。 一度達かせるか、それとも我慢させようか──俺が選んだのは後者だった。彼女の経験が乏しいというのは重々承知しているが、せっかくの初夜を簡単に終わらせるわけにはいかない。
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