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はぁ、何か良い事無いかなぁ。
俺の名前は平 均。何をやっても平均的なごく普通のサラリーマン。特に趣味も無く、毎日を平々凡々とただ過ごしている。
今日も休日だというのに何もする事が無く、ただ街をぶらついている。
ただいつもと違うところは、通い慣れた商店街をぶらつくのではなく、とりあえず電車に乗って降りた事の無い駅で街をぶらつこうと思った事。特にどうという事は無いが、知らない駅で降りたら少しは何か楽しい事が起こるんじゃないか、新鮮なものに出会えるんじゃないか、とかほんの少しだけワクワクしている事。
しばらくぶらぶら歩いていると、今人気の高級ガチャを発見。
そう言えば、このガチャ、某テレビ番組で数万円使って元が取れるかとか、大当たりがどれだけ出るかとか良くやっていたから、最近ではそれに乗っかって色々なところで見るようになった。
子供の頃にはガチャガチャも良くやったもんだけど、社会人になってからは全然やらなくなったなぁ。
しかもこの高級ガチャ、テレビで見たかぎりでは、数万円使っても大当たりはあまり出ていなかった気がする。
いつもなら素通りしている所だけど、知らない街に来たこともあってか、何故か無性にやってみたい衝動に駆られた。
とりあえず一応、景品を確認してみる。
一等は、今でも手に入りにくいあの大人気のゲーム機。
二等はというと、有名レストランのディナーご招待券。
三等は、あのテーマパークのペアチケット。
思ってたより随分豪華だな。もう少しぱっとしない景品をイメージしてたんだけど。まあ無性にやりたくなったと言っても一回しかやるつもりはない、話のネタになれば良いなぁと思っただけだから。
元が取れるとは思ってないけど、それでも何かしら使えるのが出て欲しいと思ってしまうのは、俺の貧乏性が原因だろうか。
何か良いの出て下さい。
出来れば大当たりが入ってる金色のカプセルお願いします。
ガチャ、ガチャガチャガチャ、ガコン。
金色、金色金色金色金色お願いします。
え!嘘!やった。大当たりじゃん!
今日は何か良い事起きる気がしたんだよなぁ。
さあ、何等が出るかなぁ。
・・・?
ん?
大吉?
大当たりじゃなくて、大吉?
え?どう言う事?読めば分かるのかな。
(今月の運勢)
[人間関係]待ち人来たる
[健康運]良好 かきに注意
[仕事運]良縁あり
[金 運]ギャンブル運あり 散財に注意
って、やっぱりおみくじじゃねーか!
ふざけんなよ、これじゃハズレにすらなってねーじゃねーか、詐欺だな、詐欺。
ちくしょう、これ設置した会社にクレーム入れてやる。
「トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル、、、はい高級ガチャ株式会社でございます」
もう少しましな会社名なかったのか。
「あの、おたくのところが設置した高級ガチャやったら、大当たりの金色のカプセルが出たんだけど、中身は大吉って言うおみくじだったんだけど、これってどう言う事、これも景品って事?」
「、、、弊社ではそのような景品は入れておりません。いつもご利用ありがとうございます。」
「ガチャン、プー、プー、プー。」
完全に開き直ってやがる、くそっ、やっぱりやるんじゃなかった。景品すら出てこないなんて。
もう大吉引けた事を喜ばないと悲しくてやってられない。
「トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルル。」
休みの日に誰からだろう?
え?美希。
振った男に何の用だろうか。
「もしもし。」
「あ、均?久しぶり。もしかして今〇〇街でぶらぶらしてたりしない?」
どうしてそれを。
「ああ。降りた事のない駅で降りて、知らない街をぶらつこうと思って。」
「やっぱり。今すれ違ったんだけど、分からなかった?」
「全然気付かなかった。」
「そっか、久しぶりに会ったんだしランチでもどう?」
何だ急に。
「あ、ああ、良いけど。」
「じゃあ、行こう。」
いつの間に後ろに、全然気付かなかった。
ん?待てよ、[人間関係]待ち人来たる、、、まさかな。
「ここのシーフード料理、凄く美味しいんだよ。特に牡蠣を使った料理なんてもう最高なんだから。」
「へぇ、牡蠣かぁ、美味しそうだな。」
[健康運]良好 かきに注意。
、、、まさかなぁ。
「いや、やっぱり今日は牡蠣の気分じゃないから牡蠣はやめておこうかな。帆立にしよう、それとロブスターが良いかな。」
「ふ〜ん、変なの、じゃあ私は牡蠣にしようっと。」
「う〜ん、この牡蠣サイコー!凄い美味しい!」
あれ?大丈夫そうだな、やっぱり気にし過ぎかなぁ。
「食後にパーシモンを使ったデザートはいかがですか?」
「よく分からないけど、それ美味しそう。均も食べるでしょ、それじゃ2つ下さい。」
「かしこまりました。」
「これも美味しい!ね、均。」
「ああ、美味しいね。」
「で、今日はどうしたの?振った男と急にランチなんてどう考えてもおかしいでしょ。」
「えっ?あ、いや、、、実は私、均とよりを戻したくて、電話しようかどうか迷って街をぶらぶら歩いてたんだけど、そしたらまさか均が居るじゃない。私もう運命としか思えなくて絶対よりを戻そうと思って電話したんだ。」
そうだったんだ。美希が俺とよりを戻したかったなんて。
「ありがとう、嬉しいよ。」
何てこった、待ち人来たぞ。
「俺もずっと美希の事、忘れられなくて、、、って、痛、イタタタタタタ。」
「えっ?ちょっと、均、どうしたの?」
[健康運]良好 かきに注意
、、、まさかパーシモンっいうのが柿だったなんて、いや、でも[人間関係]も[健康運]も当たった。あのおみくじって、、、。
まさかほんとうに。
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