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『セツゾクシテクダサイ! セツゾクシテクダサイ!』
突然ハーボの声が聞こえて、みのりはびくっと体を震わせた。机の上にいるハーボが勝手にしゃべり出した。
ハーボはみのりがアラームをセットするか、こちらから決まったあいさつをするときしかしゃべらない。ハーボが自分からしゃべることなどあるはずがないのだ。
「接続って、どういうこと?」
思わずハーボに聞くと、ハーボはまるでみのりの質問に答えるように『ゲームキニセツゾクシテクダサイ!』と言った。
ゲーム機を見ると、先ほど電源を切ったはずなのに画面が明るくなっている。セーブして終了したはずのバトルソードが勝手に起動していた。
「接続って、どうやって?」
起動した画面を見せるようにハーボに向ける。みのりの頭の中にいる冷静な自分が「どうしてハーボの言うことを聞いているんだろう」と疑問を抱いたのと同時に、ハーボの全身が光り出した。こんなハーボは今まで見たことがなかった。
目の前が真っ白な光に包まれる。光の眩しさに思わず強く目をつぶる。
しばらくすると閉じたまぶたの隙間から光の侵入を感じなくなった。恐る恐る目を開けると、そこは先ほどまでいた自分の部屋ではなかった。
真っ暗な森。風が吹くと木々がざわめく。
「……ここ、どこ?」
足を踏み出すと、小枝がぽきりと折れる音が聞こえた。思わず足元を見ると、みのりの足は見慣れない茶色のブーツを履いていた。
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