第一章 ゲームの世界

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 ブーツから視線を上にずらすと丈夫そうな白いズボンを履いた脚が見える。いつも部屋で履いている黒のハーフパンツではない。脚の上に続くのは鎧。金属のような色をしているのに、重さはまったく感じない。  右手には剣。左手には長方形の盾。  みのりは今、バトルソードでみのりが操作しているキャラクター「ミーノ」とまったく同じ姿になっていた。 「え、何、これ、夢……?」  ふと顔を上げると、目の前にはハーボがいた。全身からぼんやりとした光を発しながら空中にぷかぷかと浮かんでいた。ハーボに飛行機能などないはずだ。ラジコンのようなモーター音もなく、暗い森の中で静かに浮かんでいる。ハーボの全身がぼんやりと光っているおかげで、みのりは自分の服装がいつもと違うことに気づけたのだった。 「ハーボ?! なんで飛んでるの?」  聞きたいことは山ほどあったが、みのりはとりあえずそう聞いた。ハーボはみのりの質問には答えずに予想外の言葉を発した。 『アイルヲサガシテ』  アイルヲサガシテ。アイルを探して。ぷかぷかと浮かぶハーボの向こうに、石造りの建造物が見えた。ここはみのりが前回ゲームを終えるときにセーブした地点ではない。アイルがいなくなった、見張り塔の入口だった。 『アイルヲサガシテ』  まるでプログラムされた言葉のようにハーボが繰り返す。見張り塔に入って、アイルを探せということだろう。
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