第七夜 ~戦国時代より~

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はぁ、はぁ、はぁ。  ちくしょう、ここまでか。  所詮足軽なんてこんなもんか、刀も折れちまったし、体力ももう限界でこれ以上動けない、まあ10人も殺せたんだから上出来だな。  次もし生まれ変われるとしたら、出来る事なら殺し合いの無い時代に生まれてぇな。   「ビュッ。」  ん?ん~ん。はっ!  どこだ、ここ? 「プップッーーーーー!!!。」  うわっ!あぶねえっ。 「あぶねえぞ!バカヤロウ!」  なっ、何だありゃ、鉄の塊が走ってたぞ。   「いや、それより俺は敵に首を切られて死んだはず、、、。どうなってんだ。」  周りには見たこともない建物がいっぱい並んでるし、目の前には鉄の塊が何台も行き来している。歩いてるやつらだって何かが違う。   「どうなっちまってんだ。」 「キャー!!!」 「おい、戦国時代のコスプレした変質者が刀を持って歩いてるぞ!」 「誰か警察!警察!」    え?もしかして俺の事か。 「ピッピッーーー!」 「そこの変質者!刀を捨てて両手を上に挙げなさい!」    え?何だ何だ?ちょっと待て、待てって。 「いいから刀を捨てなさい。」 「ちょ、ちょっとやめろ離せ、刀に触るな!」 「抵抗するんじゃない!刀を捨てろ!」 「やめろって言ってんだろ!」 「うっ、、、。」  ドサッ。 「お前!何したか分かっているのかー!おとなしく刀を捨てろ!さもないと撃つぞ!」 「い、いや違う、違うんだ、わざとじゃないんだ、やめろ撃つな。」 「く、来るなぁ!ドンッ。」  うっ、う~ん、ここは? 「目が覚めたか、ここは警察病院だ、お前は警察官を一人殺し、さらにもう一人を殺そうとして、撃たれた。そしてここに担ぎ込まれたんだ。俺が言っている事が分かるか?」 「いや、それは分かる、分かるが、、、。」 「分かるが、何だ。」 「いや。」    何故、死んだはずの俺がここにいるのかが分からない。 「それにお前のその格好は何だ、戦国時代が好きなのか?しかも本物の刀なんて、何処で手に入れた。」 「、、、これは出陣の際に隊の皆に配られたものだ。」 「お前、薬でもやってるのか?それとも、本当に戦国時代の人間だと言い張るのか?」 「戦国時代は知らないが、嘘は言っていない。」 「そうか、お前の言っている事が嘘か本当かは分からないが、お前の身分を証明するものは何も見つからなかった。とりあえず、傷が良くなるまではここで静かにしていろ。お前の処分はそれからだ。」  あいつは誰だったんだ。しかしここは一体何処なんだ。分からないことだらけだが、一つだけはっきりしている事がある、それは俺は生きているという事。ただおかしな事に、ここは俺が居た時代とはどうも違うらしい。一人切っただけであんな騒ぎになった。もしかして俺が切ったのは名のある武将か、お偉いさんだったのか?  でももし殺し合いの無い時代に生まれ変われたんだとしたら、、、。  いや、でもちゃんと俺としての記憶ははっきりしている、生まれ変わった訳ではないとすると、、、。だめだ、さっぱり分からない。とりあえず傷が治るまで言われた通り、おとなしくしていよう。   もし本当に殺し合いの無い時代に生まれ変われたんだとしたら、、、。   「あれからもう半年かぁ。」  俺があの警察官を殺し、そして撃たれてからもう半年、警察病院から出る事は許されていないが、病院内では基本的に全てが自由だ。この半年で、この時代の言葉や歴史、この国の経済情勢等、様々な事をこのスマホというもので調べる事が出来た。もちろんテレビだって病室にある。はっきり言って、もうこの時代の人間だと言っても過言では無い。    そして、なぜスマホを持っているのかというと、入院してから一ヶ月が経った頃、最初に俺を取り調べた刑事が持ってきて、好きに使って良いと渡されたのだが、最初はそれが何かも分からず、ただ、どうして良いかもわからなかった。  今となっては、もう身体の一部と言っても良いだろう、この時代の人間より俺の方がスマホの扱いが上手いんじゃないだろうか。もちろんLINEだって出来る、ただ相手はあの刑事だけしかいないし、登録しただけだけど。  コンコン。 「はい、どうぞ。」 「久しぶりだな。」 「おい、どうなってる。もう半年も経つのに何の処分もされない、それどころか人が一人死んだのに何事も無かったかのようになってるのは何故だ。」 「お前の処遇が決まった。」 「処遇?処分の間違いじゃないのか?」 「この半年、お前の身元を洗いざらい調べたが何一つお前に辿りつく事が出来なかった。死んだ記録すらないお前は、最早この世に存在していない人間、という事で結論がついた。」 「お前には新しい戸籍を用意した、もちろんお前が殺した警察官はこの世に存在しなかった事にしてある。お前はこれから政府の人間として存在してもらう。」 「俺からの命令は絶対だ、それ以外は普通に暮らしていけば良い。住む所も用意してある、もちろん一生遊んで暮らせる金もその通帳に入ってる。」   「お前は晴れて自由の身だ。」 「自由の身、、、。」 「俺は一体、、、。」  
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