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「おい!どこに行った!」
「俺はこっちを探す、お前らはあっちだ!」
「行ったか。」
依頼完了、送信。
「もう嫌だ。」
いつまでこんな事続けなきゃいけないんだ。もう限界だ。早く死なせてくれ。
折角殺し合いの無い時代にやってこられたっていうのに、人を殺すのが仕事なんてどうかしてる。これなら俺が居た時代の方がよっぽど良かった。
ご苦労、次の依頼を待て。
ちくしょう、今日こそ死んでやる、電車が来るタイミングでホームに飛び込めば、さすがに邪魔出来ないだろう。
よし、今だ。
、、、く、くそ、身体が動かない。
やっぱりだめか。
今回も失敗だ。色々な方法で自殺を試みたが、ことごとく全てが失敗に終わった。
自殺が出来ないようにこの身体の何処かにマイクロチップが埋め込まれているらしいが、ここまで強力だとは。
、、、もう俺は疲れた。
殺し合いの無い時代にやってこられた事で、俺は夢が叶ったと思ってどんなに喜んだことか。
それなのに、俺のやってる事は何だ。昔と何一つ変わっていない。結局権力者の私利私欲の為に人殺しをしているだけだ。
それなら、あの時代の方がまだマシだ。
この時代に来られたのを喜んだ俺が馬鹿だった、もう終わらせてくれ。元居た時代に戻してくれ。あの時俺は死ぬべきだったんだ。
あいつを殺すしかない。
唯一俺がコンタクトを取れる人間、そして俺の全てを知る人間。
思えば最初からおかしかった、殺人を揉み消したり、戸籍を作ったり、この時代の事を知った今なら分かる。政府の人間なら揉み消したり、戸籍を作ったりする事は可能だろう。しかし、今の時代、全ての痕跡を消すのは不可能だ、誰かしらが何かに残している。街の防犯カメラだってある。目撃者だって沢山いたはずだ。
それを跡形も無く消し去るなんて、出来るはずが無い。
あいつに会いに行く。
俺は十年かけてやっとあいつの居場所を突き止めた、あいつに会えば何かが分かるはずだ。
「とうとうお前に辿り着いたよ。」
「良くここまで辿り着いたな。おめでとう、何が望みだ。」
「お前は何者なんだ。」
「いや、今となってはそんな事、もうどうでも良い、頼むもう俺を解放してくれ。」
「それは出来ない。」
「何故だ!お前が全てを操っているんじゃないのか!」
「俺は管理者に過ぎない、それにそこまでの権限も力も無い。」
「そうか、ならお前を殺して更に上の人間を見つけるだけだ。」
「好きにすれば良い、俺を殺しても何も変わらない。」
「うるせえ!俺はもう人殺しはたくさんだ。もういい、もう俺をあの時代へ戻してくれ!俺はあの時死んでいれば良かったんだ。」
「もう一度言う、俺を殺しても何も変わらない、、、が、俺を殺せばお前は死ぬ事が出来るぞ。」
「やっぱり、お前が全ての鍵を握っていたんだな、お前には少なからず感謝はしている、だがもう充分役目は果たしただろう?
お前には悪いがもう終わりにさせてくれ、俺はもう死にたいんだ。」
「そうか。」
「じゃあな、俺もすぐにいく。」
ドンッ。
「これでやっと死ねるのか、もう殺し合いはこりごりだ、次は、次こそは殺し合いの無い時代に生まれ変わりたいもんだ。」
「じゃあ頼むぜ、神様仏様。」
ドンッ。
「やっと、終われる、俺もそっちにいくぜ、やっぱりお前と同じ地獄だろうな。」
「俺を殺しても何も変わらない。」
「いや、死ねる事がこんなに嬉しいと思った事はない、それだけで充分だ。欲を言えば、次生まれ変わる時は、、、。」
ん?ここは?
地獄、、、みたいだな。
足の無い奴、頭が半分撃たれて無い奴、あっちは老衰か、ここでは死んだ時の状態のままなんだな。
あれは?
そうか、あれがここの管理者か。
「いいかぁお前ら!生まれ変われるのは一人だけだ!前の奴、後ろの奴、横の奴、周りの奴ら全員殺して、殺しまくれ!」
「あ〜あ、死んでも殺し合いか。」
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