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「あー、俺は昼メシ食ったら昼寝するからな。市川、店のことはよろしく頼むわ。なんかあったら連絡する」
木崎が笑いながら、市川に暗に午後はもうこなくていいと告げた。やはり市川の話題は木崎にとって面倒なものだったのだろうか。今は体調不良のまっ最中だというのに。
「そうっすね」と、市川も笑った。「このチャンスにしっかり休んでもらわなきゃ」
「罪悪感皆無で昼寝できるなんて、滅多にないからな」
それでも今回のことでは市川に世話になった。これからも活躍してもらわなければならない場面もあるだろうし、なによりいい子だ。
「市川くん、お昼、一緒に食べに行こう。何か用事があるんだったら無理にとは言わないけど」
「午後は、3時過ぎから、ちょっと……」
「じゃあ、いいよね。お昼食べてからで」
「おう、そうしろ。あ、それだったら」と、木崎が少し郊外にあるカフェの名前を出し、「特製デミグラスソースのオムライスってのがあるらしいから、市川、お前それな。で、感想を報告してくれ」と、メニューまで指定してきた。
病院のベッド上でも敵状視察は怠らないつもりらしい。
「わっかりました。レポート提出しまっす」
市川がいつもの笑顔で敬礼した。
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