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「さあ、始まりました! 野々宮夏香ちゃんのお母さんを決める”第1回お母さんオーディション”の時間です! 審査員はもちろんこの方! 野々宮夏香ちゃんでーす!」
そう言って白井早希は野々宮夏香の方に手を向けて紹介するが、当の夏香はただただ困惑していた。
「……ねえ、早希、これなに?」
「なにって、お母さんオーディションだけど?」
「いや、だから、そのお母さんオーディションが何かって聞きたいんだけど……」
突然”お母さんオーディション”なるものの審査員に抜擢された夏香は困惑していた。
放課後に近くの大きめの公園に呼び出されたかと思うと、胡散臭いマジシャンみたいにキラキラした派手なスーツと派手なマジシャンハットを着用した友人の白井早希がいて、試着室みたいな、カーテンが付いて中が見えないようになっている怪しい個室が5つ連なったような物があったのだから。
その個室の連なる上の部分には横向きの横断幕に【第1回野々宮夏香ちゃんのお母さんオーディション】とでかでかと書かれていた。
箱根駅伝とか甲子園大会みたいに、日本人なら誰でも知っているでしょ? と言いたげなニュアンスで謎の”お母さんオーディション”の話を進められているが、そんなオーディションの存在は当然初耳である。
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