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第一話・最初のあいさつ
第一話・最初のあいさつ
九月のある日曜日。街の大通りは通行止めになっていて、車は入ってこない。
いくつもの屋台が並んでいる。中央にある、大時計のベルが鳴った。
12時の合図だ。
ベルが鳴り終わると、たくさんの人の話し声にまじって、するどい音がひびいた。
ガチャーン!
「キャー!!」
続いて、女の人のするどい悲鳴。
誰もが、その方向を振り向いた。
男の人が倒れている。そのそばには、バラバラにわれた植木鉢が落ちていた。
あたりには、土がこぼれてちらばっている。倒れた男の人は、動かない。
まわりの人がざわめきだした。
「な、なんだ!?」
「事故か?」
「おい、救急車呼んだ方がいいんじゃないか?」
やじ馬が集まってくると、男の人が少しだけ動いた。
「大丈夫ですか?」
何人か心配そうにかけよっていく。スマホを向けて、撮影しようとする人もいる。
その近くで、ひとりの少女が不安そうな顔をしていた。
「大丈夫かな、あの男の人?」
少女は、うしろを振り返った。
だけど、話しかけた相手がいない。
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