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4.星丘神社さいせん泥棒事件!
次の日曜日、私たちは蛍ちゃんを家に呼んだ。
目的は、超能力をコントロールする特訓をするため。
「サナとユナ、向かい合って両手を前に出すワン。おたがいの手にはさわらないように」
コロちゃんに言われ、私とユナは両手を前に出した。
ちょうど手押しずもうでもするみたいな形。
蛍ちゃんがハラハラした顔で私たちを見つめる。
「こう?」
「そうワン。次にその格好のまま力を手から出すようにイメージするワン。相手の体にふれずに、超能力で相手を押すような形で」
「手から力を出して押す……」
ううん、難しい!
私がとまどっていると、とつぜんユナの手から力が伝わってきて、私は見えない手で押されたみたいにしりもちをついた。
「痛っ」
「大丈夫!? サナちゃん」
蛍ちゃんがかけよってくる。
「イタタ……うん、平気。少し腰を打っただけだから」
「今、サナちゃんが何もしてないのにふき飛んだように見えたけど」
蛍ちゃんがコロちゃんの顔を見る。コロちゃんはうなずいた。
「今のはユナの力だワン。超能力でサナをふき飛ばしたワン。ユナ、もっと力を弱めて。サナはもっと力を強く出すワン」
コロちゃんに言われた通り、今度はもっと思い切り力を出すようにイメージする。
ぐらり、ユナの体がゆれる。
少し力が強かった?
力を弱めると、今度は自分の体がグラグラゆれた。
「難しい……」
「そうだな」
「がんばって、二人とも!」
そうして何回かくり返しているうちに、ユナと私の力が同じくらいになり、ピタリと二人の体が止まった。
「なんだか、二人の間に見えない空気のカベがあるみたい」
「二人で反対側からボールを押し合ってるみたいだ」
コロちゃんは満足そうにうなずいた。
「そうそう、その調子ワン。じゃあ次は、蛍とサナ、同じことをやってみるワン」
今度は蛍ちゃんと手を合わせて向かい合う。
蛍ちゃんの力はユナと比べてかなり弱い。四苦八苦しながら力を調節していく。
「二人とも、かなり力のコントロールが上手くなったワン」
コロちゃんに言われ、手を下ろす。
何だかすごくつかれた気がする。
三人でテーブルを囲み、ジュースを飲む。
「ところでサナちゃん、明日はクラブに出るでしょ?」
蛍ちゃんが私を見つめて手をにぎってくる。
「えー、あー、その、明日も予定が……」
正直めんどくさかった私は、そう言ってごまかそうとしたんだけど、蛍ちゃんは引かない。
「私、サナちゃんといっしょじゃないとイヤ。男子とだけじゃ緊張しちゃうし」
「行ってやれよ、サナどうせヒマだろ」
ユナまでそんな無責任なことを言う。
「だったらユナも一緒に来てよ。あんたスポ少でいそがしいって言うけど、月水金しかスポ少ないし、火曜日なら来れるよね?」
「ゲッ、バラすなよ、サナ」
「じゃあ決まり!」
蛍ちゃんが私たちの手をとる。
と、いうわけで、火曜日は三人で超能力クラブに初めて行くことになっちゃった!
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