4.星丘神社さいせん泥棒事件!

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「全く、せっかくクラブを作ったのに君たちは顔も出さずに何をしてたんだ」  クラブに顔を出すなり総一郎が言い放つ。  確かに、クラブを設立してから一週間も経つのに、私たちは一度も顔を出してなかった。総一郎の怒りもごもっともだ。 「まぁまぁ。でも今日はこうして来てくれたことだしさ」  王子がなだめてくれる。やっぱり王子っていい人。 「そうそう、ユナちゃん、スポ少があるのは月水金だけなんだよね?」  蛍ちゃんがそう言ってにっこり笑う。 「ああ……えっと、うん……まあ」  スポ少を口実にクラブをサボろうとしていたユナはしどろもどろになる。 「ふむ、いいことを聞いた。ではクラブの活動は火木にする!」  総一郎が宣言する。  私は一週間毎日クラブがあるわけじゃないんだとホッとしたんだけど、ユナは顔を真っ青にする。 「ぼ、ボクだって色々いそがしいんだよ! その、買い物したり買い食いしたり……」 「大した用は無いようだな、よしよし」  総一郎はユナの言葉を無視して、何かのプリントに「活動日:火・木」とデカデカと書いた。 「それは?」 「クラブの活動予定だよ。来週までに先生に出さなきゃいけないんだ」  王子がにこやかに教えてくれる。  ふーん、そうなんだ。 「ん、ちょっと待てよ? 『学級新聞クラブ』って何だ?」  ユナが指差したのは活動予定の一番上にあるクラブ名。  なんか「学級新聞クラブ」という文字が書かれているように見えるんだけど? 「ああ、それはだな」  総一郎が言うには、最初「超能力クラブ」の名前で先生に届け出を出したんだけど、ダメだって言われたんだって。  そりゃそうだよね、あやしいもん。 「でも学級新聞クラブならいいということで、学級新聞クラブにした」  何でそうなるの! 「新しいクラブをみとめてもらう代わりに、いそがしい前野先生の代わりにクラスのみんなへ伝えることをこちらでパソコンで打つことにしたんだんだ」 「ええ? めんどくさくねーか?」  ユナが顔をしかめると、総一郎はニヤリと笑う。 「それは僕がやるから。その代わり一コーナーは超能力についての記事にさせてもらうから、超能力について調べる時に協力するように」 「学級新聞にすれば研究成果をクラスの全員に見てもらえるというメリットもあるしね」  王子が付け足す。 「なるほどー。さすが総一郎くん」  感心したようにうなずく蛍ちゃん。 「学級新聞って、蛍ちゃんは違うクラスなんだけどいいの?」 「先生は問題ないと言っていた」  私は重く長い息をはいた。  超能力クラブも面倒くさいと思っていたけど、学級新聞を作らなきゃいけないなんて、もっと面倒くさいじゃん。 「とりあえず活動内容はそういうことになったから、後は部長と副部長だな」  総一郎が活動予定の「部長」「副部長」の文字をトントンとたたく。 「部長は総一郎でいいんじゃないか?」 「賛成」  満場一致で部長が決まる。  言い出しっぺだし、こういうリーダー的役割はいつも総一郎と相場が決まってる。 「僕が部長なのはいいとして、副部長は?」  総一郎がペンで「副部長」の文字をペタペタとたたく。 「王子で良くない?」  私が言うと、王子はあわてる。 「えっ、ぼく? いやいや、部長が男子なら、副部長は女子なのが普通なんじゃないかな」  そうかしら? 確かに学級委員とか委員会だと男女ペアのパターンが多いけど。 「蛍ちゃんはどう?」  ユナが提案してくる。うんうん、意外としっかりしてるし、総一郎と仲良くなるチャンスじゃない? 「えっ、私!? ムリだよ~!」  だけど蛍ちゃんは手をブンブンふって断る。なんでよ! 「仕方ない、君たち四人でジャンケンしたまえ」  総一郎の提案で四人でジャンケンをする。 「ジャーンケーン……」  三人がパー。一人だけグー。 「げ」  私はにぎりこぶしをした自分の手を見つめた。私、ジャンケン弱すぎない? 「よし、副部長はサナだな!」  サラサラと副部長の所に私の名前を書く総一郎。 「な、な、な……」  私が学級新聞クラブの副部長だなんて、絶対にイヤ!
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