2.ハラハラドキドキ新学期

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 キーン、コーン、カーン、コーン。    総一郎と言い合いをしているうちにチャイムが鳴ってしまう。 「みなさん、席について下さい」  チャイムと同時に、スーツを着た若い男の先生が入ってきた。  わぁ、背の高い細身のイケメン! まるで俳優の福士亮くんみたい!   「ふんっ、となりだからって話しかけてこないでよねっ」  捨てゼリフをはいて席につく。  先生は優しそうな笑顔で話し始めた。 「みなさんおはようございます。担任の前野です」  前野先生が黒板に自分の名前をスラスラと書いていく。 「年は25歳で、去年までは東小学校で教えてました。よろしくお願いします」  ニコリと笑う先生。  カッコイイ! これは大当りじゃん! 「せんせー、独身ですか!?」  女子の一人が声を上げる。 「結婚はしてません」 「彼女はー?」 「残念ながらいません」  少し困った顔で答える前野先生。  彼女いない!!  私は思わずガッツポーズをした。  決めた。私、前野先生のファンになろっと! 「えーと、さて、これから始業式の予定でしたが、体育館の準備が整うまで、時間がかかるそうなので、その間、みなさんに自己紹介をしてもらいましょう。では、出席番号一番からどうぞ」  ゲーッ、自己紹介なんて、何を話したら良いの?  私が固まっていると、となりからまた余計な声が聞こえた。 「なんて顔だ。ヒドい顔だぞ!」 「な、何よ……!」  私が総一郎に食ってかかろうとした時、ちょうどタイミングよく前野先生が私の名前をよんだ。 「次、白都桜奈(しらと さな)さん」 「は、はい!」  しまった。心の準備がないまま自分の番になってしまった!   「し……白都桜奈(しらとさな)です。ユナの双子の姉です。えっと……おしゃれと可愛いものが大好きです。よろしくお願いします……」  結局、フツーな感じに終わってしまったじゃん。  前野先生の前だからビシッとキメようと思っていたのに!  ギリギリと歯を食いしばって総一郎の方をにらむ。  総一郎はすずしい顔で「去年は委員長でした」だの「得意科目は数学です」だの話してる。  ふん、ネコをかぶるのが上手いんだから!  総一郎の紹介が終わると、総一郎の後ろの席――つまりユナのとなりの男子が立ち上がる。  少し茶色がかったサラサラの金髪、色素のうすい肌、すずしげなブルーの瞳にスッとした鼻。  ん? こんなイケメン、うちの学年にいたっけ? 「はじめまして。園崎(そのざき)ルイス・アルベルトです。去年まで東京のインターナショナルスクールにいましたが、お父さんの仕事の都合でこちらに引っこしてきました。ルイと呼んでください。よろしくお願いします」  へぇ。ハーフなのかな?  私はルイくんのキレイな瞳を見つめた。  なんて整った顔なんだろう。話し方も優しそうだし、まるで少女マンガの中から飛び出してきた王子様みたい。  女子たちの目が一瞬でハートになる。  わあ、先生もイケメンだし、イケメン王子も近くの席だし、総一郎がいるのはマイナスだけど――今年は良いクラスになりそう!  ところが、その王子様は自己紹介の最後にニコリと笑ってこんな事を言った。 「趣味はオカルトで、超能力の研究をしています。よろしくお願いします」  何それ?
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