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キーン、コーン、カーン、コーン。
総一郎と言い合いをしているうちにチャイムが鳴ってしまう。
「みなさん、席について下さい」
チャイムと同時に、スーツを着た若い男の先生が入ってきた。
わぁ、背の高い細身のイケメン! まるで俳優の福士亮くんみたい!
「ふんっ、となりだからって話しかけてこないでよねっ」
捨てゼリフをはいて席につく。
先生は優しそうな笑顔で話し始めた。
「みなさんおはようございます。担任の前野です」
前野先生が黒板に自分の名前をスラスラと書いていく。
「年は25歳で、去年までは東小学校で教えてました。よろしくお願いします」
ニコリと笑う先生。
カッコイイ! これは大当りじゃん!
「せんせー、独身ですか!?」
女子の一人が声を上げる。
「結婚はしてません」
「彼女はー?」
「残念ながらいません」
少し困った顔で答える前野先生。
彼女いない!!
私は思わずガッツポーズをした。
決めた。私、前野先生のファンになろっと!
「えーと、さて、これから始業式の予定でしたが、体育館の準備が整うまで、時間がかかるそうなので、その間、みなさんに自己紹介をしてもらいましょう。では、出席番号一番からどうぞ」
ゲーッ、自己紹介なんて、何を話したら良いの?
私が固まっていると、となりからまた余計な声が聞こえた。
「なんて顔だ。ヒドい顔だぞ!」
「な、何よ……!」
私が総一郎に食ってかかろうとした時、ちょうどタイミングよく前野先生が私の名前をよんだ。
「次、白都桜奈さん」
「は、はい!」
しまった。心の準備がないまま自分の番になってしまった!
「し……白都桜奈です。ユナの双子の姉です。えっと……おしゃれと可愛いものが大好きです。よろしくお願いします……」
結局、フツーな感じに終わってしまったじゃん。
前野先生の前だからビシッとキメようと思っていたのに!
ギリギリと歯を食いしばって総一郎の方をにらむ。
総一郎はすずしい顔で「去年は委員長でした」だの「得意科目は数学です」だの話してる。
ふん、ネコをかぶるのが上手いんだから!
総一郎の紹介が終わると、総一郎の後ろの席――つまりユナのとなりの男子が立ち上がる。
少し茶色がかったサラサラの金髪、色素のうすい肌、すずしげなブルーの瞳にスッとした鼻。
ん? こんなイケメン、うちの学年にいたっけ?
「はじめまして。園崎ルイス・アルベルトです。去年まで東京のインターナショナルスクールにいましたが、お父さんの仕事の都合でこちらに引っこしてきました。ルイと呼んでください。よろしくお願いします」
へぇ。ハーフなのかな?
私はルイくんのキレイな瞳を見つめた。
なんて整った顔なんだろう。話し方も優しそうだし、まるで少女マンガの中から飛び出してきた王子様みたい。
女子たちの目が一瞬でハートになる。
わあ、先生もイケメンだし、イケメン王子も近くの席だし、総一郎がいるのはマイナスだけど――今年は良いクラスになりそう!
ところが、その王子様は自己紹介の最後にニコリと笑ってこんな事を言った。
「趣味はオカルトで、超能力の研究をしています。よろしくお願いします」
何それ?
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