お母さんと一緒

10/22
前へ
/22ページ
次へ
+ 玄関が開く音が聞こえた。 アスカもずっと起きていたみたいだ。 僕はまた机の下に隠れた。 近付いてきた足音は僕達の寝ている和室の前で止まり、障子が開いた。 「…人の家に勝手に上がり込んで、何をやってるんですか?」 いつの間にか立ち上がっていたアスカが、電気を付けてあいつに言った。 「誰だ?…ああ、お前、たしか」 お酒の匂いが酷い。 「帰ってもらえますか?これ不法侵入ですよね」 次の瞬間、ものすごい音がした。 僕が潜り込んでいる机を、あいつが思い切り蹴ったんだ。 僕はブルブルと震え上がった。 「ふざけんな!このアマ!」 机の下から顔を出すと、あいつがアスカに殴りかかろうとしているのが見えた。 「やめろ!」 咄嗟に飛び出して体当たりをしてたけれど、びくともしなかった。 「ああん?お前、何で喋ってんだ?」 「アスカに意地悪するな!出てけ!」 「どけ、チビ!」 お腹を蹴られて僕は吹き飛ばされた。 「ケンタ!」 アスカがすぐに駆け寄ってきて僕の体に覆い被さった。 「テメーら、ぶっ殺してやる!」 あいつはズボンのポケットからナイフを取り出して、アスカの背中目掛けて振り下ろした。 「やめてよ!」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加