俺の恋人はヤンデレさん

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俺はふと笑っている二人から顔を背け、教室の入り口を見た。 するとそこには…… 「ねえ、トウマ? その人達と何してたの? ねえ?」 瞳の光が消失した様な、灰暗い目をしたハルが、感情の無くなった表情でジッと俺だけを見つめていたのだ。 それを見た二人も尋常じゃないと気付き。 「あ……えっと、ごめん。 私達帰るね」 「それじゃ……」 と、逃げるように教室の後ろの扉から去っていった。 その二人が階段を降りるまで、小首を傾げる様に首を倒し、光の無い瞳で見つめていたハルが俺を見据えると。 「よ、よおハル。 お、遅かったな」 「……そお? ねぇ、トウマ…………あの二人と何してたの?」 彼女はすたすたとゆっくりと向かってくる。 俺はたまらず後退るが、それが悪手だったらしく。 「ねえ、どうして逃げようとするの? 何かやましい事でもあるのかな? 今なら許してあげるから話してみてよ?」 「な、なんだよ……やましい事なんて何も……」 ハルは突然、カッターナイフを取り出した。 それで何をするつもりなのか、俺には想像出来なかったのだが……。 「ウソつかないでよ…………なんでウソつくの? あいつらのどっちかと浮気してるんでしょ?」 「な、何言って…… …………っ!」 なにやら嫌な予感だけは感じ、一旦距離を置こうと黒板を背に逃げようとした刹那。 彼女が突然、俺の進行方向の黒板にカッターナイフを突き刺し、詰め寄ってきた。 その瞳は先程までと同じく冷たく、そして表情に絶望が漂っていたのを感じ取れた。 「ウソつかないでよ! なら何で私以外と話すの!? 私はトウマの彼女なんだよ!? だったら私以外と話さないでよ!」 「い、いや、そういう訳には……」 彼女の言葉に反論しようとしたのたが、ハルの異様な様子に俺は唾を飲み込んだ。
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